一文字屋お才
顔見世も後三日になり、名残惜しいような気持ちで、一日一日を大切に過ごしております。前回のblogでは「虎」の写真集(?)でしたので、今夜は「お才」を数点ご覧ください。ちなみに原作は「お才」でなく「才兵衛」で男ですが、歌舞伎では「女房お才」で、才兵衛は見たことがありません。それと「対面」ですが、「虎」は十郎と恋仲で、「おもいで曾我」と云う狂言では十郎五郎が祐経を討ったあと、捕らえられて殺された事を聞いた「虎」が発狂してしまいます。この「おもいで曾我」は楳茂都流、文楽座の演奏で昭和二十年代後半に父と簔助(⑧三津五郎)おじさんが、十郎五郎と早変わりて三枚目で物語をする軍兵をよく演っていました、富十郎④さんか「虎」鶴之助(⑤富十郎)さんが虎の妹分の「亀菊」で、子役の私はこの狂言か好きで、舞台の袖から毎日のように観ていました。もう六十年も前になります。その後道頓堀の文楽座て延二郎(③延若)兄さんと岩井半四郎さんが出されたとき、「虎」が嵐雛助さんで、私は妹分の「亀菊」をつとめました。四人の出演者の内、存命は
私ひとり…、今は亡き先輩方の芸風を、若い役者に少しでも受け継いでもらえるよう、折りにふれては話しています。