六十年目の顔見世

初めて顔見世に出していただいたのは昭和二十五年なので、今年の顔見世は六十年目になります。昭和二十五年頃の顔見世は今のように東西合同でなく、東京の吉右衛門劇団や菊五郎劇団の単独公演で、関西の役者は出演していませんでしたか、この昭和二十五年は関西から子役の私が出していただき時蔵おじさんの『実録先代萩』の「亀千代」を勤めさせていただきました。六十目の今年は『佐々木高綱』の「おみの」と『封印切』の「梅川」を勤めさせていただきます。おみのは二回目ですが梅川はずいぶん勤めているので何回目かは覚えていませんが、初めて勤めさせていただいたのは十代前半の巡業のおり、父仁左衛門の忠兵衛で、毎日がとても幸せだったことを覚えています。おみのは数え歳二十三歳、梅川は二十歳になるやならず、ともに四十歳以上若い役ですが、「若くみせよう、可愛くみせよう」と無理〓に思うとあざとくなるので、ただその役になりきって素直に演じたいと思っております。おみのは「新歌舞伎」梅川は「近松もの」役柄も性格もまるで違う役なので演じるもの
としてはとても〓楽しみですただ梅川はこれが最後になると思うので、やはりそれを意識してしまうと思うのですができるだけ『平常心』で勤めたいと思っております。
プロフィール

片岡秀太郎

Author:片岡秀太郎
二代目 片岡 秀太郎
昭和16年9月13日
大阪府大阪市生まれ
屋号は松嶋屋
定紋は七つ割り丸に二引、替紋は追いかけ五枚銀杏
本名は片岡 彦人(かたおか よしひと)

十三代目片岡仁左衛門の次男
1946年(昭和21年)10月京都南座で『吉田屋』の禿役で本名の片岡彦人で初舞台
1956年(昭和31年)3月大阪歌舞伎座の『河内山』の浪路で二代目片岡秀太郎を襲名

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